最新の宇宙科学の研究内容を利用したことでも注目を集めています。
しかし、注目を集めているからといって、それが正しいとは限りません。
この映画とその原作には、ストーリー展開のために「科学的な正確さ」を欠いた表現が多々見られます。
そんなことが見ていられないという科学者もいられるようです。
以下、引用
物理学者とともに読む 「天使と悪魔」の虚と実 50のポイント
東京大学教授 早野龍五
CERN研究所における
反物質研究グループのリーダー
http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/hayano/
2009年3月19日追記:3月18日に、本件について記者会見をしました。その意図について若干補足説明をさせていただきます。
「天使と悪魔」への反物質の登場は、CERNで実際に行われている反物質研究に興味を持っていただく良いチャンスである一方「科学者達がこっそりと危険な研究をしている」という誤解を生む懸念もあります。
エンターテイメントの科学性を論じるのは「やぼ」と承知していますが、原作冒頭から「事実」として反物質のことが記されており、一般の方々には、虚実の境目が見分けにくいと考え、天使と悪魔に登場する反物質の虚実皮膜を絵解きし、我々日本グループも深く関わっているこの研究の現状についてお伝えしたかったのです。ちなみに、私自身は(CERNが出てくることもあってなおさらのこと)原作を楽しく読みました。
CERN研究所が存在し、そこで反物質研究が行われていることは事実です。 しかし、原作のように1/4グラムもの反物質を作るには、宇宙の年齢(137億年)でも足りないくらいの時間がかかります。反物質がエネルギー源となったり、凶悪な兵器となったりすることはありえません。
反物質研究は、ディラックによる陽電子の予言、アンダーソンによる陽電子の発見、セグレとチェンバレンによる反陽子の発見と、数々のノーベル賞を生んでおり、2008年度の小林・益川両先生の理論も、宇宙になぜ反物質が存在しないかを解明する糸口となるものです。CERNにおける私たちの反物質研究は、このような系譜に連なるものです。
せっかくなので、正しい科学的知識を理解しながら、映画を楽しまれてはいかがでしょう。
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