原文はかなりの長文ですが、日本ではインフルエンザワクチンに含まれる
有機水銀の量は、一般的な許容量を大幅に下回るようです。
先日、「妊婦用のワクチンはない」と言う話は、あくまでもドイツでの話。
日本では問題はないと思われます。
以下、抜粋
チメロサールとワクチンについて
in 横浜市衛生研究所
チメロサールとは?
チメロサール( thimerosal )は、殺菌作用のある水銀化合物で、以前はワクチンに保存剤として、よく添加されていました。しかし、最近では、日本でも、チメロサール( thimerosal )を添加しないワクチンや、チメロサール( thimerosal )を減量したワクチンが増え、
チメロサール( thimerosal )をワクチンの保存剤としてできるだけ添加しない方向にあります。今回はこのチメロサールを話題とします。また、最後に、関連事項として、「メチル水銀と魚」についても話題とします。
ワクチンに添付されている添付文書でチメロサールの添加を知ることができます。
「本剤は添加物としてチメロサール(水銀化合物)を含んでいる。チメロサールを含んでいる製剤の投与(接種)により、過敏症(発熱、発疹、じんましん、紅斑、かゆみ等)があらわれたとの報告があるので、問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行うこと。」というような内容が書かれています。
チメロサール( thimerosal )は、エチル水銀( ethylmercury )と thiosalicylate とに分解します。エチル水銀( ethylmercury )の部分で人間への毒性が心配されています。
ワクチンとチメロサール
1928年1月にオーストラリアでジフテリアの予防接種の注射薬に病原体が混入して注射を受けた多数のこどもが死亡する事件が起こっています。
細菌の増殖を抑えるのに十分な殺菌剤を含むものでなければ、細菌が増殖可能な生物製剤は多人数用の容器に入った製品としてはいけないという勧告を王立委員会は出しました。
チメロサール( thimerosal )は、水銀を含む有機化合物(有機水銀)です。その殺菌作用は、昔から知られていて、1930年台から、種種の薬剤に保存剤として使われてきました。薬剤に病原体が混入して
薬剤の使用で感染症となってしまうのを防ぐためなどの目的で使われてきたのです。
ワクチン中のチメロサール( thimerosal )が、近頃、アメリカ合衆国で注目されるようになった一つの理由は、この十数年の間に、アメリカ合衆国では、乳幼児が接種すべきワクチンの種類や本数が増え、また、より月齢が低い段階で接種を受けるように成って来ていることによります。1999年には、生後6ヶ月までで見ると、チメロサール(thimerosal)が添加されたワクチンをそれぞれ3回ずつ受けたとすると、B型肝炎3回で37.5マイクログラム、三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)3回で75.0マイクログラム、インフルエンザb型菌3回で75.0マイクログラム、計187.5マイクログラムの水銀(計375.0マイクログラムのチメロサール)が注射されたことになります。
現在は、アメリカ合衆国では、B型肝炎、三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)、インフルエンザb型菌のワクチンについは、チメロサール( thimerosal )が添加されていないワクチンが生産されていますので、チメロサール( thimerosal )が添加されていないワクチンを注射すれば、同様の注射をしても、水銀は注射されないことになります。
自閉症と水銀
自閉症の発生については、出生10000人につき4.5人程度の発生とされています。近年、アメリカ合衆国では、自閉症の発生が増えていると言われています。アメリカ合衆国カリフォルニア州で州の保健福祉局発達サービス部門が把握している自閉症・脳性麻痺・てんかん・精神発達障害の四つの障害・病気について1987年のデータと1998年のデータを比較した報告書があります(参考文献14)。
1987年のデータに対し1998年のデータでは、人数で、自閉症では210.43%、脳性麻痺では42.84%、てんかんでは30.69%、精神発達障害では48.74%の増加を示しています。つまり、人数で、自閉症では3倍以上に増加していて他の三つの障害・病気と比較しても明らかな増加です。この増加の原因はよくわかっていません。
アメリカ合衆国における自閉症の増加を水銀と関連づけて説明しようとしたのが、Bernardらの仮説です。
Bernardらの仮説は、アメリカ合衆国において、ワクチン中のチメロサールの安全性に関して疑問を投げかけることになりました。アメリカ合衆国における、この疑問に対する結論が、2001年10月の米国科学アカデミーの医学協議会( Institution Of Medicine : IOM )の勧告です。
米国の医学協議会(IOM)の勧告(2001年)
米国科学アカデミーの医学協議会( Institution Of Medicine : IOM )は、予防接種安全性検討委員会で、「チメロサールを含むワクチンと神経発達障害と」について検討し、おおよそ、次のような結論を2001年10月に示しました。
チメロサールを含むワクチンの接種を受けることと神経発達障害とが関係しているとの仮説は、立証されてはいないが、生物学的にはもっともらしく思われる。また、チメロサールを含むワクチンの
接種を受けることと自閉症・注意欠陥多動性障害(ADHD:attention deficit / hyperactivity disorder )・言語発達障害などの神経発達障害との間の因果関係については、肯定するにも否定するにも十分な証拠がない。
以上のような結論を踏まえ、米国の医学協議会(Institution f Medicine : IOM )の予防接種安全性検討委員会は、チメロサールを含まないワクチンの使用を勧告しました。
世界保健機関(WHO)・欧州・日本の対応
アメリカ合衆国の中で、チメロサール( thimerosal )を
ワクチンにできるだけ添加しない方向は、医学協議会( Institution Of Medicine : IOM )の予防接種安全性検討委員会の勧告以前に、米国小児科アカデミー(AAP:American Academy of Pediatrics )と合衆国公衆衛生サービス(PHS:United States Public Health Service )との1999年7月7日の共同声明で示されました。世界保健機関(WHO)は、2000年1月にこの共同声明を支持しています。
日本においても、アメリカ合衆国、欧州、世界保健機関(WHO)と同じく、チメロサール ( thimerosal ) をワクチンにできるだけ添加しない方向にあります。ワクチン中のチメロサール ( thimerosal ) の減量や無添加が見られています。
米国の医学協議会(IOM)の結論(2004年)
米国科学アカデミーの医学協議会( Institution Of Medicine : IOM )は、予防接種安全性検討委員会で、2001年の勧告以来、「チメロサールを含むワクチンと自閉症と」について検討し、おおよそ、次のような結論を2004年5月に示しました。
チメロサールを含むワクチンの接種を受けることと自閉症との間の因果関係については、否認することが根拠によって支持される。
メチル水銀と魚
さて、平成15年6月3日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会において、「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」がとりまとめられました。
その後、見直しの結果、平成17年11月2日に、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会から、
「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」が出されました。この注意事項では、
「魚介類は、健康な食生活を営む上で重要な食材です。多くの魚介類は、特定の地域に関わりなく、微量の水銀を含有していますが、一般に含有量が低く、健康に害を及ぼすものではありません。しかし、一部の魚介類については、自然界の食物連鎖を通じて、他の魚介類と比較して、水銀濃度が高くなるものも見受けられます。
近年、魚介類を通じた水銀摂取が胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がなされています。この胎児への影響は、例えば音を聴いた場合の反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れるようになるようなもので、あるとしても将来の社会生活に支障があるような重篤なものではありません。妊婦は、注意事項を正しく理解するように努めて下さい。
<妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取量(筋肉)の目安>
摂食量(筋肉)の目安 魚介類
1回約80gとして妊婦は2ヶ月に1回まで
(1週間当たり10g程度) バンドウイルカ
1回約80gとして妊婦は2週間に1回まで
(1週間当たり40g程度) コビレゴンドウ
1回約80gとして妊婦は週に1回まで
(1週間当たり80g程度)
キンメダイ メカジキ クロマグロ メバチ(メバチマグロ) エッチュウバイガイ
ツチクジラ マッコウクジラ
1回約80gとして妊婦は週に2回まで
(1週間当たり160g程度)
キダイ マカジキ ユメカサゴ ミナミマグロ ヨシキリザメ イシイルカ
参考1) マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂食で差し支えありませんので、バランス良く摂食してください。
参考2) 魚介類の消費形態ごとの一般的な重量は以下のとおりです。
寿司、刺身 一貫または一切れ当たり 15g程度
刺身 一人前当たり 80g程度
切り身 一切れ当たり 80g程度
目安の表に掲げた魚介類のうち複数の種類を食べる場合には、次のことにご留意ください。
例えば、週に1回と注意事項に記載されている魚介類のうち、2種類または3種類を同じ週に食べる際には食べる量をそれぞれ2分の1または3分の1に、また、注意事項に週に1回と記載されている魚介類及び週に2回と記載されている魚介類を同じ週に食べる際には、食べる量をそれぞれ2分の1にするといった工夫をしましょう。また、ある週に食べ過ぎた場合は次の週に量を減らしましょう。
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