2009年4月11日土曜日

需給ギャップ、総需要不足とは何か(1)

この1ヶ月、「需給ギャップが拡大している。大恐慌以来だ。経済を回復軌道にのせるのは難しい。」との論調があちこちで聞かれます。4月9日に自民党が決定した追加経済対策も、日本の需給ギャップをギリギリ埋め合わせることを目標に設定されたようです。


さて、この需給ギャップ、どんなものなのでしょうか。
今回は、その算定方法について。



GDPギャップと潜在成長率
――物価変動圧力を評価する指標としての有用性と論点――

2003年 1月30日
日本銀行調査統計局

(要旨)

1. 物価の変動には様々な要因が働いているが、基本的には、経済全体の供給力に対して実際にどれだけの総需要が存在するかが、重要な決定要因であると考えることができる。この「経済全体の供給力」と「総需要」の乖離のことを、一般にGDPギャップ(output gap)と呼んでおり、物価変動圧力を評価するための基本的な指標の一つとして、国際機関や海外中央銀行などの経済情勢分析でもよく用いられている。日本銀行が半年に1度公表している「経済・物価の将来展望とリスク評価」でも、物価の先行きに関する記述の背景には、GDPギャップの考え方がある。GDPギャップは、需給ギャップとも呼ばれる。

2. GDPギャップの算出に必要な「経済全体の供給力」と「総需要」のうち、「総需要」は実際のGDPそのものとみなすことができる。一方、ここでいう「経済全体の供給力」とは、その時々に現存する経済構造を前提にした供給力であり、一般に潜在GDPと呼ばれている。問題は、この潜在GDPを具体的にどう定義し、どう推計するかである。日本銀行調査統計局では、潜在GDPを「現存する経済構造のもとで資本や労働が最大限に利用された場合に達成できると考えられる経済活動水準」と定義し、その推計には「生産関数アプローチ」と呼ばれる方法を用いている。この方法は、GDPが、(1)資本ストックの利用量、(2) 労働の投入量、(3)それらの利用効率である全要素生産性、の3変数で決定されるというマクロ生産関数の考え方に基づくものである。なお、潜在GDPの変化率(年率)は潜在成長率と呼ばれている。

役に立たない補注)
具体的には、生産関数として最も適合度が高いコブ・ダグラス型生産関数を使う場合が一般的です。生産関数の式は、他にもいろいろあるのですが、なぜか、この最も単純な式が最も適合することが多いのです。
コブ・ダグラス型の生産関数は(Aは技術、Kは資本、Lは労働)で示すY = AKa + Lb

3. 実際に日本の潜在成長率を推計すると、80年代は4%前後であったが、バブル崩壊後は低下傾向が続き、最近は1%程度まで低下している。しかし、その間における実際のGDP成長率は、そうした潜在成長率をさらに下回る傾向が続いた。実際のGDP成長率が潜在成長率を下回ればGDPギャップは拡大する、という関係にあるので、バブル崩壊以降のGDPギャップの推移をみると、循環変動を伴いつつも傾向的に拡大を続け、今日では非常に大きなものとなっている。

5. GDPギャップには様々な推計方法があるが、日本銀行調査統計局が主に利用しているGDPギャップには、(1)生産関数の各要素を単純に積み上げた推計であるため、GDPギャップの先行きを想定する場合にその根拠を示しやすいこと、(2)既述の通りインフレ率との間に緩やかながら経験的な関係が認められること、といった実用的な長所がある。反面、このGDPギャップには、(1)様々なデータの過去のトレンドや最大値に依存した推計であるため、経済構造の変化を反映するのが遅れがちになること、(2)潜在GDPの定義が国際機関等と異なるため、GDPギャップ水準の読み方には注意が必要であること、(3)インフレ率との関係が必ずしも経済理論どおりではないこと、といった短所もある。

6. このため、日本銀行調査統計局では、他のアプローチを用いたGDPギャップも補完的に推計している。代表的なものとしては、(1)実際のGDPに滑らかな曲線トレンドを当てはめる「HPフィルター・アプローチ」、(2)国際標準とも言える考え方を取り入れてインフレ率を上昇も下落もさせないGDPを潜在GDPと定義し直した「可変NAIRUアプローチ」がある。そのほか、(3)短観DIを用いたGDPギャップ類似の指標も作成している。既述の通り、現行GDPギャップは経済構造の変化を反映するのが遅れがちになると考えられるため、今後、構造改革等により経済構造の変化が加速していくような場合、様々なGDPギャップないし類似指標を併せてみていくことの重要性が、増していく可能性がある。
この需給ギャップ、大きくなればなるほど購買力、購買意欲が不足していることを意味します。
つまり不況が長期にわたり、重症化するかどうかの目安となるわけですね。


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